以下では、2023年度2年生及び1年生が、公共市民学専修で秋学期まで学んだ後に書いた感想文の一部を紹介します。
私は大学進学を目指していたものの、広く浅く様々なことに関心を持っていたため、高校三年生になっても志望校が定まらなかった。そんな時担任の先生に、本学科・専修を薦めていただいた。高校の授業の中で現代社会が一番好きだった私は、本専修で社会を構成する学問を学際的に学ぶことができるところや公共市民学という学問がまだ成立していない新しさに強く惹かれた。実際に学んでみると、想像より哲学的かつ抽象的で、最初は「よくわからない」という感想を持つことが多々あった。しかしながら、講義で紹介された参考文献や本を読んで知識に肉付けするうちに知的好奇心が掻き立てられたと同時に、答えのない問いに対して視点を変えてアプローチすることが楽しいと感じるようになった。本専修での学びは、色も形も全く異なる眼鏡を様々かけてみるという試みと同じなのだと思う。そして、裸眼よりも鮮明であったりぼやけていたりする理由を自分自身でさらに考えることに本専修で学ぶ意義があるのだと考える。 私は、理系・文系を問わない教育学部での学び自体に満足しているとともに、その中でも公共市民学専修における個性的な先生方の講義や日本全国または海外から集まった友人と関わることがとても楽しいと感じている。貴重なこの4年間を無駄にしないように、日々の学びを大切にしていきたい。
(公共市民学専修1年 齋藤優美)
公共市民学専修を通して、自分が今まで知らなかった社会の成り立ちや社会がどうやって回っているのかなど表面上では分からない様々なことを学ぶことができたと考えます。市場の仕組みや、政治や経済、メディアや法律など様々なことを学ぶことを通して自分の世界を少しでも広げることができました。私たちのふとした行動が、なぜそのような行動になるのか、どうやって世界は回っているのかなど興味深い内容を沢山学ぶことができてこの学部のこの専修に入ってよかったなと感じました。法が私たちの生活を守り、市場が常に動いて、メディアに支配される世の中で生きる中、それらがどう動いているのか知りながら生活する方がもっと楽しい生活になるなと思いました。一年間の学びを通して、高校のように知識をただただ教えられるのではなく、大学では物事の「考え方」を教えてもらうのだなと知りました。これからも、沢山学び、多角的な視点を持った人になれるように頑張りたいと思います。
(公共市民学専修1年 田中嘉乃)
私はこの専修に入学するにあたって「社会科学と教育を広く学ぶ専修」と思っていたが、良い意味で期待を裏切られた1年間だったと感じる。「公共市民学」という学問は初めて聞くものだったが、私たち「市民」と、私たちを取り巻く「公共」との関係性や、両者と深く関わってくる政治・経済・法律といった社会科学の諸学問を横断的に学ぶことができ、独立した学問どうしがどのように関わり合い、私たちの社会を形成しているかについて様々な視点から考察することができた。教育学部でありながら教育学に触れる機会はそれほど多くないが、教職科目をはじめとした教育学関連の講義も卒業単位に算入して履修できることもこの専修の魅力だと考えている。社会科学とその関係性について、まずは広く、そして興味を持った分野を深く学ぶことのできる専修だと感じているし、1年間を通して次年度以降の深い学びのための基礎を築くことのできた年だったとも感じている。
(公共市民学専修1年 常盤孝太)
一年間の公共市民学専修での学習を通して、今までぼんやりとしていた「社会」という概念が少しずつ形あるものとして見えてきたように感じる。まず、「社会」というものはいろいろな要素で構成されているということ。経済や政治、メディアなど、しかもそれぞれの要素は交じりあい、常にその形を変えていく。その変動的な社会を分析するための様々な視点を公共市民の必修で学んでいるのだと気づく。我々が生きる「社会」は一つであるはずなのに、例えば経済という要素一つとっても、どの視点からそれを見るかによって「社会」の見え方は異なるから面白い。また、本当にたくさんの視点が存在することにも驚く。常に発見と驚きがあるような専修であるなと感じ、授業を飽きることなく受けることができている。 「市場と市民」の授業では、そんな経済の一視点を非常にわかりやすく教えていただいている。一年を通して振り返ると、シンプルなことから複雑なことへの移行がストレスなくスムーズにできていることを実感している。 個人的には、すべての必修の授業でも学生同士でコミュニケーションが取れるような内容がもう少しあってほしい。刺激しあえてよいのではないか。 一年間ありがとうございました。今後もよろしくお願いいたします。
(公共市民学専修1年 西村晃輔)
「公共」や「市民」という言葉の意味を掘り下げる内容の授業が多いことには驚いた。入学前は、政治や法律、経済等を中心に学ぶ専修だと思っていたので、公共圏や記録などについて深く考える授業も多数あったのは予想外だった。このような授業を通して、明確な答えがない分、自分なりの考えを出す必要があったため、思考能力を発達させることができた。 政治や経済の授業では、高校の政治経済をより発展させた学びを得ることができ、今まであまり興味のなかった政治・経済に関心を持てるようになった。来年の授業でもさらに深く学べるのが楽しみだ。
(公共市民学専修1年 松本東子)
入学当初は、公共市民学という学問が指すものが何か分からず、社会科というカテゴリーに属することから、公民を学ぶ学科だと考えていた。しかし、実際に蓋を開けてみると、社会の中における公共(社会)と市民(個人)の関係を多角的な視点で考える学科であることを知った。ここで言う多角的な視点は、法学、経済学、政治学、社会学、メディア学にまで及ぶ。他の学部と明確に異なる点は、様々な思考の枠組みを得た状態で自分の専攻したい分野を学ぶことができる点である。他の学部学科であれば、ある程度自らの裁量で履修できるものの、カリキュラムを通して様々な分野の知見を得ることは、なかなか難しいだろう。こうしたカリキュラムで一年間学習して、私は特に社会の中における自分と他者の関係について考えるようになった。とりわけ、近代以降の関係性の変化に焦点を置く。すると、自ずと資本主義について考えるようになる。資本主義を理解するために、経済システムの変化、資本家と労働者の関係性の変化、労働者の権利、権力構造の変化、環境問題、メディアについて学ぶようになる。こうして、様々な分野を包括的に学ぶことで、それぞれの理解が深まると同時に学問の連関を体感できる。私はこの連関に学問の楽しさを見出し、知識が増殖していくような感覚に喜びを感じている。今後も、多角的な視点を忘れずに学問を探求したい。
(公共市民学専修1年 谷津颯真)
公共市民学専修のカリキュラムの中で個人的にとても面白いと感じたことは、一つの授業で学んだことが横断的に他の授業の内容につながるところだと思う。例えば、今学期受けている公共市民学Ⅱ-1(市場と市民)で習った内容が経済学概論Ⅰの授業を受ける上で大いに役立っている。公共市民学Ⅱ-1(市場と市民)においては経済学の原理を一から学ぶことができたため、経済学概論の授業の理解をより深めてくれているのだ。他にも、春学期に受講した公共市民学Ⅰ-1(公共圏とメディア)は公共市民学Ⅱ-2(記憶と記録)の授業内で学んだ戦争の記憶などに内容に直接ではないがメディアという観点から内容が共通しているところがありとても興味深く感じた。また、公共市民学の授業全体を通して、経済学、政治学、法学、社会学とさまざまな分野の内容を学ぶことができて将来について考えるきっかけになった。教育学部の社会科に入ったということもあり、入学した頃は社会学系にしか興味がなかった。しかし、秋学期から始まった公共市民学Ⅱ-1(市場と市民)の授業で経済学について学んでいくにつれて、経済学について興味も知識もなかった私は少しずつだが経済の原理を知ることができた。今ではゼミについても経済学系に入ろうか迷うまで興味が深くなっている。これも大学1年生という新たな節目から多くの分野についてのカリキュラムを受講することができたからだと思う。
(公共市民学専修1年 山西桃佳)
公共市民学専修では、法学、経済学、社会学、政治学の4つの柱を軸に、社会科学を横断的に学ぶことができます。入学したての頃は、学ぶ内容が広すぎるが故に、なぜこんなバラバラな内容を必修で受講させられるのか、1つの分野を極めた方が学生の将来に活きるのではないかとこの体制に疑問を抱いていました。この疑問が解消されたのは2年生に進級してからです。私は社会学に特に関心があり、それに関わる講義を多く受講しています。その中で、現代社会で起きている数多の問題の背景には必ずと言っていいほど経済、政治、法の乱れがあることを知りました。つまり、この4つの分野は相互に干渉しあっていて、必修の講義内容はこの先自分がどの分野に進むとしても必ず活きてくるのです。これからゼミでの研究活動が始まりますが、今までの学びを総動員して臨んで行きたいと思っています。
(公共市民学専修2年 相原宏太)
私は、公共市民学専修での2年間の学習を通して、経済学、法学・政治学、社会学、メディアコミュニケーション学がそれぞれ別々の学問ではなく、それぞれ深いつながりを持った学問であるということを理解できた。私は、公共市民学専修に入学した際、なぜこれら4つの学問すべてを学ばなければならないのか疑問に思っていた。4つの学問のうち自分が学びたいものだけを選択し、深く学んだ方が良いのではないかと考えていた。しかし、講義を受けていくなかで、例えば経済学で学んだ用語や概念が法学や政治学の講義で登場するなど、4つの学問が密接につながっていることに気づいた。そして、現代社会で問題となっている事象について考える際にはこれら4つの学問の視点を用いて多角的に考察する必要があり、そのためには4つの学問を好き嫌いせず学ぶことが大切だと分かるようになった。現代社会の問題はとても複雑であり、さまざまな視点から考えることが必須である。その点において、公共市民学専修でさまざまな学問に触れることはとても意味のあることだと感じた。3年生からはより専門的な学習が始まるが、他の学問とのつながりを意識しながら勉強していきたいと考えている。
(公共市民学専修2年 安西汰月)
公共市民学専修での学びの2年目が終わり、改めて幅広い分野を学ぶことができる学科であると感じました。私はもともと社会学に興味がありこの学科を志望しました。しかし経済学や政治学、哲学の授業を学んで様々な要素が社会を構築していると気づき、幅広く学ぶことの重要性を実感しました。哲学と聞いて高校の倫理の授業のようなものをイメージしていましたが、実際に2年秋に哲学概論Ⅱを学んだ際、教育の在り方や望ましい代表の選出法、結婚という仕組みについてなど自分にとって身近な内容を深く考察する授業であり、こういうところから社会を一つずつ考えていくことが社会の中に生きる一人間として重要なことであると思いました。このように最初の2年間で多くの分野を学ぶことができたことが自分がさらに深めたい学問を見つけるきっかけとなったり、興味の持てなかった分野を知ることにつながり公共市民学専修で勉強できてよかったと感じています。
(公共市民学専修2年 伊藤笑)
公共市民学専修は、社会学、メディア・コミュニケーション学、政治学、法学、経済学と幅広く社会科学を学ぶことができる場です。約2年間、様々な分野の講義の受講により、私の内面や身近な社会がとても深遠であることを学ぶとともに、無意識に距離をとっていた、一見自分とは関係ないと思ってしまう社会への理解が深まったように思います。現代社会は、貧困や差別、少子高齢化など様々な問題を抱えています。それらの社会問題の解決に対し、入学する前の私はひどく無能力さを感じていました。しかし、学びを得ることで、重層的な社会や社会問題を精緻に柔軟に捉え、思考を巡らせることで、その無能力さを少しずつ緩和できていると感じます。その感覚の獲得が、公共市民学専修の醍醐味であると思います。さらに、2年生になり受講できるようになったA群の講義では、自分の関心のある分野に関し、討論や調査、グループワークなど実践的な取組みを行い、断片的な知識を体系化されたノウハウに変える機会が得られました。残りの2年間では、公共市民学の楽しさを実感しながら、さらに社会問題解決に貢献できる力を身に付けたいと思います。
(公共市民学専修2年 植木天音)
公共市民学専修で2年間学んでみて、一つの出来事に対して多面的に考えられるようになりました。例えば教育の格差について考えるとき、それは経済的な要因から資本主義についても考えることができますが、教育制度から考えると、文化資本に着目して考えること、子どもの育て方から家族の在り方について考えること、そのために政策的にどうアプローチしていくのかと政治的観点から考えることができます。〇〇学などは人間が世の中の出来事について考える内容を人為的に学問としていくつかに分けているため、世の中の出来事は学問ごとに確立して考えられるわけではなく、非常に複雑に絡み合っています。そのため公共市民学専修で2年間あらゆる学問の概論を横断的に学べて得た視野は今後どの分野にいっても、社会に出た後も必ず役に立つ大切なことだと思います。また、日常生活においては人や出来事を観察することが増え、1人で思考を巡らせている時、内容は様々ですが、なぜ?と問うことが増えたり、ときどきあの講義で聞いたことに当てはまるな、などと気がついたりすることもあります。もちろん私の考え方やその内容はまだまだ浅いですし、間違いもたくさんありますが、そのように考える習慣がついたことが大きな変化だと思いました。この2年間、広く全体的に学んだことを活かして来年度からのゼミや専門科目の講義などでより具体的に深く学んでいきたいです。
(公共市民学専修2年 小関瑞穂)
公共市民学専修は小規模であるため、教員全員がどのような考えを持っているか分かりやすいのが特徴だと思う。以前はそれを「選べる授業の幅が狭い」というマイナス面でしか捉えていなかった。しかし、早稲田大学は他の学部の授業を受けやすい環境だ。その環境下で、教員一人一人の濃い授業を受け、必要に応じて他学部の授業を受ける、という大学の使い方ができるのは、公共市民学に特有だと思う。また、「公共」「市民」という言葉を中心に、様々な学問を繋いでいくことができるのも、公共市民学専修にしかできないことだ。大学生活の四年間は短い。様々な学問をテーマも持たず学ぼうとしても、中途半端に終わってしまう。キーワードがあるのは、様々な学問を学際的に学ぶときに役立つと実感している。私は今後、社会学を本格的に学ぶことになる。しかし今までに学んだ他の分野が無駄になるとは思っていない。このような意識を持てたのは、公共市民学専修に入って得られた大きなメリットだと思う。これからもこの意識を失わず、多面的に社会を見ていきたい。
(公共市民学専修2年 田中日奈子)
高校生の頃から、私は興味のある分野ばかり進んで勉強してしまい、逆に自分の勝手な思い込みから興味が無いと判断したものについては触れようとしてきませんでした。しかし今まであまり深く触れていない分野にもっと自分が学びたいと思えるものがあるかもしれないという興味と、自分の偏った視野をもっと広げたいという思いから、大学では専門分野に絞った学部ではなく初めは教養科目や広範囲の分野を学べるような学部を希望していました。それにまさに当てはまったのが公共市民学専修でした。実際に社会学、法・政治学、メディア学、経済学と様々な分野を必修で学ぶことで、様々な視点から社会を俯瞰することが出来たと思います。あるひとつの現象を見るにしても、それぞれの学問では全く異なった方法で、そして異なった視点で観察・考察するため、日常生活でもより多くの視点から物事を考えることができるようになったと実感しています。
(公共市民学専修2年 野口蒼葉)
公共市民学専修での2年間の学びを通して、入学前の自分の期待をいい意味で裏切ることができたと感じている。2年前の私は、公共市民学と社会科学はほぼ同義であり、この専修で関心のあった社会科学について幅広く学べると考えていた。もちろん、この期待は間違っておらず政治学や法学、経済学、メディア学といった社会を構成する多様な学問に触れるとともに、社会を捉える多様な見方を身につけることができたと感じている。一方で、私自身、3年次からは入学時最も自分から遠いと思っていた経済学に関するゼミに入ることが決まった。決め手は、理論ばかりで面白みがないと考えていた経済学の世界に、大学生活をかけて取り組んでみたいと思えるものを見つけたからである。社会学系のゼミを考えていた入学前の自分と比べると大きな変化であるが、ゼミ活動を通して公共市民学専修での自分の学びの集大成をつくれたらいいなと思う。
(公共市民学専修2年 野中ほなみ)
私は公共市民学専修に入って様々な講義を受けていくにつれ、大袈裟かと思われるかもしれないがかなり世界の見方が変わったと感じる。正直、最初は社会科学部に入った方が良かったのではないかと考えたこともあった。しかしながら、より公共圏と市民の繋がりが深く学べるこの専修は社会を生きる上で生じる様々な疑問の解決への道標となってくれた。また、多様な疑問に応えてくれるかのようにかなり幅広い授業が用意されており、最初は正直あまり興味がないと思っていた授業でも実は市民社会と繋がりがあったりと驚かされるものも多かった。あと2年この専修で様々なことを学べることを嬉しく感じる。
(公共市民学専修2年 吉田晴陽)