早稲田大学教育学部社会科公共市民学専修

Student Voice 2021年

以下では、2021年度2年生および1年生が、公共市民学専修で秋学期まで学んだ後に書いた感想文の一部を紹介します。

公共市民学専修で学んできた二年間で、社会の中で生きていくための土台作りができたように感じます。幅広く学んでからゼミで専門的な知識を身につけるカリキュラムは他の学部や学科ではあまりない特徴だと思いますが、やりたいことがまだ定まっていない私にとってとても良い環境でした。入学前は「公共市民」というワードに具体的なイメージが湧かず、未知な学問という印象でしたが今では社会の中でより良い市民となるために様々な視点を養う専修だと自信をもっていうことができます。大学生は高校までとは違い、自分のやりたい学問を好きなだけ追いかけることができる貴重な機会です。ゼミで究めたい学問が確定したこれからの大学生活が有意義なものとなるように精進していきたいと思います。

(公共市民学専修2年 雜賀歩佳)

公共市民学専修では、専門的な知識を深く勉強するというよりも、広く浅く知識をつけることができると聞いていた。実際に、必修教科の下二文目くを見ても、法律・政治・社会・哲学といったように、様々な分野がある。私は専門知識を持つことも必要だが、様々な分野の知識を知っておくことも大切だと考えている。そうした、特定の分野の専門性が高い知識については、二年以降のゼミに入ってから学べばいいのだ。むしろ、一・二年の間に様々な分野に触れることで、自分の進路を決めることができるし、そうした様々分野の勉強をすることで、多角的な物の見方ができるようになると思う。そのため、私は公共市民学専修でのカリキュラムでの学習は、非常に有用なものであると思う。今後、ゼミに入った際に、他の授業で習った考え方を用いながら、様々な思考を働かせられたらいいと思う。

(公共市民学専修2年 福田智悠)

社会学概論は学ぶうちに自分の考え方に柔軟性が実感でき、とても面白かったです。自分が社会を生きる上で影響を受けている、あるいは与えていることを意識することは普段あまりないためとても貴重な学びだったと思います。また、社会自体や社会で起こる出来事を様々な角度から捉えられることでより社会を生きることを楽しめると思いました。政治学、法学、メディア学、経済学、哲学、社会学といった様々な学問に触れる機会のあるカリキュラムだったからこそ自分の興味のある分野を知ることができたと思います。自分からは絶対に取らないと思っていた学問もあったため、必修として受けてみてどのような学びをしているのか知れたこともいい経験になりました。

(公共市民学専修2年 宮本里奈)

公共市民学専修でよかったことは、社会科学の分野を広く横断して学ぶことによって、自身の肌色にあったゼミの選択ができるところにあると考えます。大学の学部での勉強は学部生にならないとわからないところがあり、大学入学後に後悔することもあると思います。また、大学入学前に興味がなかったことに対して大学での学びを通じて、興味を持つことも大いにあると思います。実際に自分もそうでした。それができるという点で、社会科学の学問領域を体系的に学べるこの専修は自分にあってたと思います。

(公共市民学専修2年 山本夕真)

高校までは、国語や数学、生物、公民など大きくカテゴリー分けされた教科を学んでいましたが、そのようにカテゴライズされていない教科を学ぶのは初めてだったので、とても新鮮で刺激の多い一年でした。また経済学や法学など日常生活の中で役立ったり、知っているとニュースがおもしろくなったりする教科も学べてよかったです。私は単に暗記をしたり、これからの人生で絶対に使わないだろう計算をひたすらにやるような学習は正直あまり好きではありませんでした。なので人生で役立ち、自分の生きている社会を見つめなおす機会となる公共市民学専修の学習は興味深いことばかりでした。この一年で、知識的にも、人間的にも成長できたような気がしています。

(公共市民学専修1年 オダカミナミ)

今年度の学習を通して、社会学、経済学、法学、政治学、メディア学といった広い分野に触れ、学ぶことで、自分にとっての新たな発見が得られました。それぞれの学問の学びを深めることで、どこかでつながりが見えてきたり、別の学問に生かして考えられる部分が見えてきたりしました。また、知識を詰め込むことではなく、自分で問いを立て、考察することや現代から過去と向き合って考えることの重要さに気づきました。今後の学びにも生かしていきたいです。

(公共市民学専修1年 小野寺詩絵)

私にとって公共市民学専修での1年間の学びは「考えて掘り下げて行く」というプロセスが多かったと感じました。1年次は、この専修で、法、政治、経済、社会、メディアと様々な領域について学びました。それぞれの分野において、常識を疑うことで立てた問いを考えるということを繰り返していると、最初のガイダンスで教授の方々がおっしゃっていたようにそれぞれの分野がつながっているということを実感しました。そして、様々な分野を広く見ていくことの重要性を改めて知りました。その様々な分野の関係性を考えながら広くかつしっかり考えることができたのは私にとってとても興味深いものでした。それは、今までに知らなかった世界との出会いでもあり、私の視野を広げてくれました。また、1年間の授業を通して様々な教員の方々から常識を疑うことで学問的に考えることの重要性を教えて頂きました。一つの物事をとっても、法学的に考えるのか、政治学的に考えるのか、または社会学的に考えるのかでは答えが大きく変わってくるということを学びました。来年度は考えて問いを立てていくだけではなくそのような問いはどうすれば解決ができるのかということをしっかり考えていきたいと思いました。

(公共市民学専修1年 澤祐太郎)

公共市民学専修での学びにより、「思考することの楽しさ」を享受できた1年間だったと思います。大学に入学した当時の私にとって1番大きかった変化は、課題に「模範解答」がないことでした。高校生までは、課題と言えば、予め問題を解いておくこと、重要事項を暗記することで、その後は必ず○か×かが判定されます。中高6年間でその形式に慣れ過ぎてしまったためか、最初は大学での課題に対して苦手意識がありました。講義では先生が関連事項を詳しくお話ししてくださったり、他の受講生とディスカッションをしたりします。そして期末試験では、「〇〇についてあなたの考えを述べなさい。」という出題で、授業に関連することなら何でも自由に論述することができます。これまでは、出題者が何を求めるのかを考え、それに自分を合わせることが多かったのに対し、今では、自分の思考と理解から問いを膨らませ、自分なりの「応え」をつくり出していきます。つまり、私が感じたことが問われるのです。初めは非常に大きな要求に見えましたが、自分が考えたものをより深め、分析し、伝えることができる大学の課題が段々と面白くなりました。授業で学んだ内容を常に私の身近な事柄と関連付けて捉え直し、共通点や相違点の分析から更なる気づきへと構築でき、「応え」を表すのが楽しくなりました。ここで、”答え”ではなく、”応え”としたのは、思考を論述することは○×判断を越えたものだからです。先生方からは、講義を通して「思考する芽」を育てていただいたと考えます。これまで、日常生活を過ごす中では、目先のことに囚われ、じっくり立ち止まることなどあまりなかったように感じます。しかし、大学に通い、先人たちの知識を学び、問いかけられることで、思考するきっかけを与えてくださいました。そして最近は、普段の生活でも、この背景には何があるのか?この人々は何を求めるのか?などを考察ようになり、思考が習慣化してきたと思います。高校生までは答えがあり、大学生までは問いがある。だけれども、ひとりの社会人として生きて行く時には、答えも問いもない。今後は、自分で何かしらの問いを立て、応えていく。現在は学問を探究するとともに、問いなき世界へ向けた準備をする期間だと感じています。その時間も永遠には続かず、大学生活もあと3年となりました。日々を丁寧に過ごし、その日その時間を大切に味わいたいと改めて思いました。1年間、授業を教えてくださった公共市民学専修の先生方に、この場をお借りして感謝申し上げたいです。

(公共市民学専修1年 中野万里奈)

入学して実際に講義を受けるまでは公共市民学という堅苦しい名前の印象から、ピンとこないような難解な問題について思考しなければならないものだと考えていたので、講義内容についていけるのか正直とても不安な気持ちでいっぱいでした。しかし実際に講義を受けてみると公共市民学という学問は、法学、政治学、社会学、経済学といった実に多様な分野から「人間」の在り方について見つめる学問であると理解することが出来ました。教授が取り上げる問題というのは私たちが普段生きながら意識的または無意識的に疑問に感じるような根本的なものであり、学問とは日常生活の中で生まれる純粋な疑問の答えを探すために研究を重ねて論理を展開していく事なのだと感じました。また、この1年で公共市民学の必修科目を受講して強く実感したのは、全く異なるように感じられるどの分野でも、「人間の性質」「人間の営み」というものに焦点を当てているということです。必修全てが根本的な部分で共通しているため、ある必修科目で学習した知識をまた別の必修の分野で思考を深める際に活用したりすることが出来たので、多様な分野を多様な視点から見つめ、思考を深めることが出来ました。私は早稲田大学が第一希望ではなかったので、この学科を受験したのは模試で判定の良かった学科だったからという理由にすぎませんでした。またほかの受験学部は文学系であり、こうした社会学分野にそれまで興味はありませんでした。しかこの1年この専修で講義を受け、社会問題について真剣に考えることに喜びを感じ、今はこの大学のこの専修に入ることが出来てとても良かったと感じ、社会学についてもっと知見や思考を深めたいとさえ感じるようになりました。これからも真摯に勉学に取り組み、多様な視点で物事を考えることのできる姿勢を身に付けたいと思います。拙い文章で申し訳ありません。

(公共市民学専修1年 三木麻綾)

この一年、公共市民学専修を受けて、この学問領域の楽しさを少しずつ感じることができました。普段は、本当に当たり前以上に考えもしないような身近なことを学問として捉えてみた際に、こんなにも奥深くて複雑なのかと感じることができました。なんといっても面白い点が、あの講義では教授が話していたことが、あの講義の骨組みの一部であったとか、この話聞いたことがある気がするのに、とらえ方、見方が異なっていて類似しているテーマであったことに気づけなかったりしたことがあったことで、かなり好奇心が揺さぶられました。初め、大学がどのような場所なのかわからずに入り、何となく知っているようテーマについての話を聞いているという感覚が多かったのですが、いざ日常で、あ、これ講義で言ってたかも。と思うような出来事に触れたときから、すごく自主的な興味、積極的な姿勢を持てるようになった気がします。公共市民学といいう学問領域では、確実に日常をもう一度講義を通して模索することこそが、鍵なのだなと気づくことができました。

(公共市民学専修1年 吉田妃央)